こんにちは。株式会社コプログローバルマネジメント 代表取締役社長の金田です。
季節外れの暑さが続いたかと思えば一転、急に肌寒くなるなど寒暖差の激しい日が続いています。体調にお変わりはございませんか。まもなく紅葉の見頃を迎えますが、楽しみな反面、各地におけるオーバーツーリズムの話題を耳にすることも増えてきました。
外国人入国者数と在留外国人動向のデータから
出入国在留管理庁が2024年10月18日に発表した「令和6年上半期における外国人入国者数及び日本人出国者数等について」によれば、今年の上半期における外国人入国者数は約1,780万人で、前年同期に比べて670万人以上増加しました。在留資格別の新規入国者数は、「短期滞在」(1,609万人)が最も多く、全体の98%を占めています。次いで、「留学」、「技能実習」の順となります。
また、同日発表された「令和6年6月末現在における在留外国人数」に目を移しますと、在留外国人数は約359万人となり、過去最高を更新しました。在留資格別に見ると、「永住者」が最も多く、次いで、「技能実習」、「技術・人文知識・国際業務」、「留学」、「家族滞在」、「特定技能」と続いています。国別では、中国・ベトナム・韓国・フィリピン・ブラジル・ネパール・インドネシア・ミャンマー・台湾・アメリカが、上位10カ国に名を連ねます。
近年、ITや建設、飲食や介護といった人手不足が深刻な特定分野において外国人が正社員として働くことのできる特定技能ビザの取得者数は、右肩上がりで伸びています。加えて今年3月には、特定技能の対象分野そのものを拡大するなどの制度改正を閣議決定しており、特定技能の取得者は今後も増加を続けていくでしょう。
一方でこれまでの技能実習制度は、労働基準法の適用を受けないため、実習生は低賃金で長時間労働を強いられるなどの劣悪な労働環境下で働かされるといった問題が起きていました。たびたび新聞やテレビの報道番組でも取り上げられているので、ご存じの方も多いかもしれません。そのような制度では、適正な教育・訓練が受けられずにキャリア形成にも支障が出てしまい、実際に多くの外国人材が日本に見切りをつけて去ってしまっています。
そこで、現在の技能実習制度は新たに特定技能へつなげることを目的とした育成就労制度へと刷新される予定です。
コプログローバルマネジメントでは、アジア圏、主にミャンマー、インドネシア、ネパールの外国人材を、国内企業の皆さまへご紹介しています。
日本経済における生産性向上やイノベーションを加速させるために、高度な知識・技能をもつ外国人材の受け入れは欠かせません。加えて、人口減少や高齢化の進行により、人材不足はますます深刻化しています。基礎能力の高い人材が長期にわたり日本で活躍できるように、外国人労働者の働きがいの創出や長期的なキャリア構築が、いま大きなテーマとなっています。もちろん私たちも、きちんとコミットしていくべきポイントと考えています。
長期滞在の促進とキャリア構築支援へ
これまでも日本政府は、外国人材の長期にわたる滞在を推し進めるために、さまざまな取り組みを行ってきました。
例えば、2020年7月に開設された外国人在留支援センター(FRESC/フレスク)。日本語学習のサポートや就労支援のほか、住居探しや医療・福祉サービスの案内といった、日本での生活をより快適にするための情報提供やサポートを、政府の関係機関が連携して行うことで、日本で暮らし、活躍する外国人の在留を支援しています。
また、2023年4月に行われた政府の教育未来創造会議では、外国人留学生の戦略的受け入れの推進や、高度外国人材が安心して来日できる子供の教育環境の実現が提言されています。同時に、2033年までに外国人留学生を40万人受け入れといった目標も示されました。さらに2024年7月改訂の第二次提言においては、外国人留学生の国内就職率60%が目標に加わりました。留学期間が終わった後に日本国内での活躍に向けた取り組みや、関連する在留資格制度の改善の検討などが進められています。
加えて日経新聞の記事によれば、9月に来日したインドネシアのイダ・ファウジヤ労相は、日本に今後5年で25万人のインドネシア人労働者を送り出すといった目標を明らかにしています。日本とインドネシアは特定技能の二国間協定(MOC)により、労働者の権利や労働条件の保護が強化されています。日本はインドネシアからの労働者受け入れを進めつつ、受け入れた人材の育成や安心して働ける環境の整備を目指しています。
人材活用のフィールドは育成や活躍の場づくりまで
このような流れは、何もインドネシアに限りません。既に日本で働いている外国人材にも、今後はもっと目を向けていく必要性があります。
例えば、技能実習生が特定技能ビザを取得する、特定技能制度を利用している外国人材が異なる領域の特定技能資格を取得するなど、やりたい仕事に就くためのキャリアを考えていくことも大切ですし、受け入れ企業側にも理解と具体的な対応が求められていきます。やはり、そのような視点がなければ、日本の労働力不足は解消できないのではないかと思います。
また、労働力の観点だけでなく、日本の職場における多様性が促進されることのメリットもあります。いろいろな価値観や背景を持つ人材が増えることで、職場の文化や視点が多様化し、イノベーションや創造力が高まるでしょう。国際競争力の向上にもつながります。中でも東南アジアの人材はハングリー精神があり、日本人にとっても、良い刺激を受けながら働ける職場環境につながるといった声もお聞きします。
私たちは、特定非営利活動法人スプリングウォーターにおける人材育成やキャリア形成を支援してまいりました。これからも、クライアント企業のニーズをお聞きしながら、人材紹介だけでなくその後のキャリア構築や活躍できるステージづくりについてもしっかりとコミットし、一緒に具体的なプロセスを作り上げていけるように取り組んでいきます。
代表取締役社長 金田 浩邦