この7月に当社は、株式会社コプログローバルマネジメントへ社名変更しました。コプログループの一員として、グループのシナジーを発揮するべく新たな気持ちで社業に励み、皆さまのご期待に添えるように努力いたします。
ヤンゴンの現在の状況と高まる日本人気
私たちは2012年の設立以降、アジアをフィールドに挑戦を続け、2017年からはミャンマーをはじめとするアジア圏の外国籍人材が、日本で活躍できるように伴走型支援を行ってきました。
2021年に起きたクーデターから3年、ミャンマーと聞くと、いまだ戦闘状態で治安が悪いといったイメージを持つ方もいるかもしれませんが、ヤンゴンの状況はまったく違っています。
ヤンゴンは、ミャンマーの玄関口にあたり、人口規模と経済規模でミャンマー最大の都市です。2006年まではミャンマーの首都でしたが、その後も外資系企業が多く進出し、経済の中心地として発展しています。
現地で暮らす人は、クーデター前と表面上は何ら変わらない生活を送っています。所得水準が高まり、富裕層も増えて、夜のレストランなんかも賑わって商業地らしい活気にあふれています。日本にいると怖いイメージがあるかもしれませんが、実際に現地に行ってみると、決してそんなことはないのです。
ただ、クーデターの影響で、ミャンマーの大学生の多くが学校を中途退学してしまいました。教育というのは私たちの視野を広げ、新しい視点や理解を与えてくれますが、個々の価値観や信念にも影響を及ぼします。クーデターで家族や友人を失った彼らの深い悲しみは推し量ることすらままなりませんが、優秀な大学に通っていた3年生や4年生の多くが卒業を迎えずに大学を去ったという事実には、本当に胸が痛みます。
今、そのような若者が、海外で勉強し、海外で働くことを希望しています。中でも、もともと親日家の多いミャンマーでの日本人気は高く、日本語を学び、日本で働くことを希望してくれているので、しっかりサポートしていきたいと考えています。
現地ビジネススクールの開校に向けて
私たちは、以前からミャンマーにビジネススクールをつくる計画を進めてきました。ミャンマーの若者たちには大学を卒業した後に、日本へ来て日本語を学び、日本で生活しながら就職先を探すという選択肢もあります。ただ、その場合は日本での費用負担が大きくなるため就職するまでが大変です。
そこで初期の費用負担を抑えるために、ミャンマー国内で、日本語や日本のビジネス慣習、日本文化などをしっかりと学び、キャリアプランを主体的に考える教育の機会を提供します。そして、本人の希望を踏まえて日本での就職活動をサポートするという、こういった選択肢が用意できたらと考えています。
特に日本で活躍するためには、語学力が非常に重要です。日本語能力試験(JNLP)という日本語を母語としない人たちを対象に日本語の能力を測定し、認定する試験があります。「N1」から「N5」までレベル分けされていて、日本で活躍するには「N2」が必要と言われています。そこでビジネススクールでは、「N2」(日本語でディスカッションができるレベル)、もしくは「N3」(単独で作業ができるレベル)の認定者を増やすべく、学習サポート体制の構築を図ります。
これらの教育を通じて、日本社会できちんと役割を担い、長く活躍できるような人材の育成を行っていきます。
社会課題解決への新たな模索も
一方で、先日、少し考えさせられることがありました。インドネシアから来られたお客様の一団とお会いした時のことです。先方は、インドネシアでは1万5000人の従業員を雇用する警備会社をはじめ、大手企業のそうそうたる経営者の方たちです。
インドネシアの大学には、海外インターンシップに1年間参加することで、単位が取得できるという制度があります。ある程度の日本語を勉強した学生が実際に日本へ来て、語学力をさらに磨き、日本でコミュニケーション力を身につけるという機会が得られます。日本企業にとっても、学生一人ひとりと直に接する機会があるというのは、よい流れです。
インドネシアでは、近年、国内の求人がいわゆる「供給過多」といった状況で、多くの若者が就職できない事態が続いています。そこで国をあげて、就業先を拡大させるべく活動しているのです。
私たちのビジネススタンスは中長期的な視点で人材育成を考える一方で、日本では、既に人材不足が加速し、労働力の不足は深刻な社会問題となっています。さまざまな現場において外国籍人材の活躍が広がっていますが、私たち自身も、優秀な人材の育成・支援だけでなく、より大量の人材が日本で働けるように、もっと考える必要があるのはないか。そうすることで、現在の日本がかかえる社会課題の解決に、もっと大きな貢献ができるのはないかと考えさせられます。
これからAIやデジタル化がさらに進展し、ロボットも活用するようになると、単純作業についてはやがて人がやらなくてもよくなるかもしれません。それでも、日本の人手不足は解消されない状況でしょう。
まだまだ道半ばではありますが、どのような形で人材育成と就職支援を行うのがよいのか、社会課題の解決に向けていろいろな人にアドバイスをいただきながら、変化を恐れずに挑戦していきます。
代表取締役社長 金田 浩邦