皆さん、こんにちは。マンスリーミャンマーレポート担当のジョーです。
今回は、ミャンマーの現状と、若者たちが日本で働くまでの流れについてお話ししたいと思います。
ミャンマーの現状と、日本で働くことへの憧れ
ミャンマーでは、2021年のクーデター以降、国内の経済状況が悪化し、就職率も低下しているのが現状です。大学を卒業しても、仕事を見つけることがますます難しくなっています。
家族が金銭面で支えてくれたおかげで、勉強に専念できた若者たちも、将来的にはその恩返しをしたいという思いから、海外で働くことを選ぶ人が増えています。また、国内外問わず自分に合ったキャリアを追求したいと考える人も少なくありません。
どの国で働くか、言葉や文化をどのように学ぶかといったことは慎重に考える必要があります。東南アジアの国々で働くか、それとも技術が進んでおり、給与の基準も高い日本で働くか、悩む人も多いですが、なかでも日本で働くことは非常に人気があります。ミャンマーは親日国であり、日本製の車や家電製品が非常に人気なこと、日本とミャンマーの国民性が似ていることから、日本はミャンマーの人々にとって憧れの国でもあるからです。
言語の面では、東南アジアでは片言の英語でも働くことができる場合が多いですが、日本で働くには日本語をしっかり学び、コミュニケーションできるレベルになることが求められます。面接でも、日本語を話せる人が有利になるため、ミャンマーの多くの若者が日本語を熱心に勉強しています。
ミャンマーの若者が日本語を学ぶ方法
ミャンマーには、ヤンゴンとマンダレーという2つの大都市に、日本語を教える大学があります。
ヤンゴン外国語大学(Yangon University of Foreign Languages)では、毎年約100名の学生が日本語を学びに入学しており、卒業生も毎年100名ほどいます。マンダレー外国語大学(Mandalay University of Foreign Languages)でも、現在は年に50名ほどが入学していますが、クーデター前はもっと多くの学生が入学していました。
ミャンマーでの大学入学試験は、高校最後の試験の点数で決まり、その点数が高い人は医大や技術大学を選んだり、自分の希望する学科を自由に選ぶことができます。日本語学科についても、高い点数が必要な大学にありますので、入学はなかなか難しく、そこには優秀な学生が集まることになります。


日本語学科に入学できなかった若者たちは、民間の日本語学校に通うことになります。ヤンゴンとマンダレーを合わせると400以上の日本語学校があり、教師には少数ですが日本人や、日本で働いた経験を持つ人々がいます。また、海外に人材を紹介するエージェンシーも、日本語や日本で働くための知識を教えています。
ミャンマー人は日本語の文法が母国語と似ているため、日本語を比較的学びやすいと感じることが多いです。毎年実施される日本語能力試験(JLPT)も多くの若者が受験し、その試験日には大渋滞が発生するほどの社会現象になっています。
日本で働くために必要なこと
現在、日本で働くためのビザには3つの種類があります。
- 技能実習生(育成就労制度)
- 特定技能(介護、農業、外食、宿泊、建設)
- 技術・人文知識・国際業務(技人国)
皆さんご存知のように、技能実習生の制度は育成就労制度に名称変更されました。ミャンマー国内で最近行われた特定技能1号の試験では、合格者も多く出ています。
また、ミャンマーでは、日本へ人材を紹介するためには免許を取得する必要があり、その取得は非常に難しくなっていますが、ミャンマー国内には現在では100社以上の送り出し機関があります。日本で働くためのビザを取得し、厳正な審査を受けた送り出し機関や仲介業者のサポートを受け、若者たちは日本で働くチャンスを得ているのです。
これからも日本で働きたいミャンマーの若者たちの挑戦は続くことでしょう。日本の労働力不足解消に、ミャンマー人が少しでも貢献できたら嬉しく思います。
Kyaw Swar Tun(ジョー・ズワ・トン)
YUI Myanmar Co., Ltd 最高経営責任者
日本のIT企業でネットワークエンジニアを10年以上経験し帰国。ミャンマーのIT系大学と日本企業の連携支援やITエンジニアを中心に日本で働きたいミャンマー人のキャリアコンサルティングを行う。