2025.08.08 | 役員ブログ 海外人材事業の現在地とこれから

コプログローバルマネジメント(以下、CGM)は、7月1日に新たな事業年度を迎えました。2024年度は、コプログループにおける海外人材事業の中核を担う存在として、さまざまな変化と課題に向き合ってきました。

特に事業に大きな影響を及ぼしたのは、ミャンマーの政治情勢によるカントリーリスクです。現場には何の落ち度もないにもかかわらず、国の状況によってビジネスが止まってしまうという現実は、かつて中国での事業でも経験したことがあり、改めてそのリスクの大きさと怖さを痛感しています。

多国籍展開と出国済み人材へのアプローチ

2025年度にCGMが注力している取り組みのひとつが、「人材確保の仕組みづくり」です。CGMの海外人材事業は、これまでミャンマーを中心に展開してきました。日本語能力や人材の質においてミャンマーは非常に優れた国ですが、情勢の不安定さを踏まえ、現在はインドネシアやネパールなど他国への展開にも力を入れています。

また、ミャンマー国内からの人材確保が難しくなっている今、すでに国外に出ている人材へのアプローチが現実的かつ有効です。例えば、タイには就労登録済みのミャンマー人が200万人以上いるとされており、留学生や技能実習生などを含めると、さらに多くの人材が存在します。CGMでは、タイに滞在するミャンマー人との接点を増やし、紹介事業につなげる取り組みを始めています。

加えて、日本国内にも多くのミャンマー人が生活しています。CGMが運営を支援する「Myanmar-Japan Career Success Network」では、登録者の半数以上が日本在住者です。このネットワークを活用し、企業とのマッチングを加速させることが今後の鍵となります。

人材確保においては、単に人数を集めるだけでなく、「どんな仕事に就きたいか」「どんなキャリアを描きたいか」といった各人の希望に寄り添うことを重視しています。CGMでは長期的な関係構築を大切にしており、キャリアカウンセリングの仕組みを整えて、企業とのマッチング精度を高める取り組みも進めています。

営業体制の強化と組織再編

日本では、少子高齢化や労働人口の減少により、さまざまな業界で人材不足が深刻化しています。特に介護・宿泊・IT・建設・製造などの分野では、即戦力となる人材の確保が急務となっています。また、人材不足が深刻になっていることを受けて、特定技能制度では対象となる分野や業務の範囲が広がっています。

こうした状況の中で、海外人材の活用は、企業の持続的な成長を支える重要な選択肢です。多様な文化や価値観を持つ人が加わることで、組織の柔軟性や創造性が高まり、グローバル展開への対応力も強化されます。

また、海外人材にとっても、日本で働くことはキャリアを築くチャンスであり、安定した生活を送るための土台になります。企業と人材の双方にとって良いマッチングを実現することは、日本社会全体を活性化することにもつながる、意義のある取り組みです。

現在、CGMには日本国内に約40名、現地の開発拠点に約60名のスタッフが在籍していますが、体制としてはまだ十分とは言えません。2025年度は、この体制の強化にも取り組んでいきます。

これまで一人が多くの業務を担っていたマネジメント層に加え、技術部門のメンバーも配置しながら、適正な人数で管理できる組織体制への再編を進めています。さらに、営業部隊の新設・強化によって、企業へのアプローチを本格化させる予定です。特に、10人、15人といった複数名単位で採用してもらえる企業との関係構築を強化して、より安定した紹介体制を築いていきます。

2024年度は外的要因に翻弄されながらも、CGMとしての方向性を見直し、次の一手を模索した一年でした。変化の激しい時代の中で、私たちは「人と企業をつなぐ力」を磨き続け、グローバル人材事業の可能性を広げていきます。

代表取締役社長  金田 浩邦